
西田幾多郎 言語、貨幣、時計の成立の謎へ (角川ソフィア文庫)
永井 均
KADOKAWA / 2018-11-22
この本について
最近、「自分が何者なのか」を考えても、結局いつも同じところをぐるぐる回っているような感覚がありませんか。仕事の役割や性格診断のラベルを外したときに残る“私”って何なのか、そもそもそんなものはあるのか……と考え始めると、だんだん言葉の足場がなくなってくるあの感じです。 永井均『西田幾多郎 言語、貨幣、時計の成立の謎へ』は、その“足場がなくなる瞬間”そのものに正面から向き合う本でした。抜粋にもあるように、「私」は主語ではなく、出来事が“於いてある”場所だという視点に触れると、普段当たり前に使っている言葉が、実は世界の成り立ちと深く結びついていることに気づかされます。そして、他者と言語の成立が同時だという話は、人と向き合うときに感じるあの“距離の正体”を説明してくれるようで、妙に腹に落ちました。さらに、純粋経験そのものが言語を可能にしているという議論は、「経験をどう言葉にするか」で悩んできた人にはひとつの救いになると思います。 読みながら、自分の輪郭が曖昧になるのに、同時に“世界の見え方”が少しだけクリアになる。不思議な読後感のある一冊でした。自分の存在をラベルで確定したくない人、あるいは言葉の裏にある感覚の層を知りたい人に刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの17%が集中しています。
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