
わるい食べもの (ホーム社)
千早茜
集英社 / 2018-12-10
この本について
仕事帰りに歩きながら、「なんでこんなに毎日ざわつくんだろう」と思うことがあります。うまく説明できない感情が積もっているのに、言語化できないまま流してしまう。自分の好き嫌いや、心が動く瞬間の理由さえよくわからなくなる時期ってありますよね。 千早茜さんの『わるい食べもの』は、そういう“説明しにくい揺れ”を無理に整理しないまま書いてくれる本でした。酔った夜道のやわらかさとか、誰かと「は~やれやれ」と茶をすする瞬間とか、子どもの頃に飲めなかった牛乳の記憶とか。自分の中にも確かにあるのに普段は見ないようにしている感覚が、そっと浮かんでくる感じがあります。忘れたくない小さな場面に光を当てる姿勢にも、救われる人は多いと思います。 読みながら「自分にもこういう匂いの記憶があった」とか、「ああ、食って感情に直結してたんだ」と気づく瞬間が何度もありました。大げさな人生論ではなく、暮らしの端っこにある感情を丁寧に拾い直すだけで、気持ちは少し落ち着くんだなと感じます。食の話なのに、なぜか自分の人間関係や、生きてきた時間の手触りまで思い出す不思議な読書でした。 ふだん理由のわからないモヤモヤを抱えやすい人、感情がうまく言葉にならない人にとって、静かに効いてくる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第3章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの19%が集中しています。
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