
教えない授業――美術館発、「正解のない問い」に挑む力の育て方
鈴木有紀
英治出版 / 2019-03-17
この本について
「相手の意見を聞きたいのに、気づけば自分が“正解っぽい何か”を示してしまう」。授業でも会議でも、こんな空気になった経験ってありませんか。僕もよくやってしまって、場の流れを止めてしまったな…と後から反省することが多いです。 この本がおもしろいのは、対話型鑑賞という美術館発の手法を使って、その“場を詰まらせる原因”をほどいてくれるところです。たとえば「どこからそう思う?」という問いの使い方。理由ではなく、作品の“どこ”を見たのかを聞くことで、話している本人も整理できるし、聞いている側も理解しやすくなる。抽象的な「なぜ?」を投げるより、ずっと場が動きます。また、ナビゲーター(進行役)がセッターのように、参加者が自分で考え続けられる“トス”を上げる役割を担う、というたとえも妙に腹落ちしました。つい相手の頭の中を先回りして答えを投げ込んでしまう癖に気づかされます。 もうひとつ印象に残ったのは、「情報は教えるものではなく、考え続けるための材料」という視点。子どもでも大人でも、知識を“渡される”のと、自分の問いに沿って“拾いにいく”のとでは、定着の仕方が全く違う。その差を丁寧に描いてくれるので、日常のコミュニケーションにもじわっと効いてきます。 自分の話し方や場のつくり方に違和感がある人、特に「つい正解に寄せてしまう」タイプには静かに刺さる本だと思います。
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多くの読者は第3章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの17%が集中しています。
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