
通貨の日本史 無文銀銭、富本銭から電子マネーまで (中公新書)
高木久史
中央公論新社 / 201608
この本について
お金について考えていると、「今の仕組みって本当にベストなのか?」とふと立ち止まることがあります。キャッシュレスが増え、ポイントまで通貨っぽく扱われる時代に、自分が何を信じていいのかよく分からなくなる。そんなモヤモヤに、この本は静かに効いてきます。 抜粋を読んで感じたのは、通貨の歴史って「政府がこうしたいから作った」という話よりも、庶民の生活の実態に押し出されるように形が変わってきた、というリアルさでした。朝廷が想定もしなかった使われ方をされたり、品質の悪い銭まで強制的に受け取らざるを得なかったり、税の支払いが紙幣に偏った結果インフレの影響をもろに受けたり。制度の側からではなく、暮らしの側から通貨を見ると、現代の「お金の仕組みはこうあるべきだ」という思い込みがじわじわほどけていきます。 個人的には、旧貨を一気に回収した結果、市場が混乱して一揆まで起きた話に、自分の仕事でも似たような“良かれと思った変更が現場を苦しめる”みたいな風景を重ねてしまいました。お金の歴史は、遠い昔の別世界じゃなくて、今の私たちの判断や思考にも通じる現実のケーススタディなんだなと。 「制度より先に、人の行動が通貨を形づくる」という視点がほしい人に刺さる一冊です。
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