
ケイトが恐れるすべて (創元推理文庫)
ピーター・スワンソン、務台 夏子
東京創元社 / 2019-07-31
この本について
ときどき、自分の中に説明のつかないざわつきがあって、「なんで今これに反応したんだろう」と自分でも理由がわからないことってありませんか。日常では飲み込んで流してしまうその感覚が、この本では容赦なく表面に引きずり出されます。読者の方が保存していた場面も、まさにそこに触れているように思いました。 『ケイトが恐れるすべて』は、派手な事件よりも、登場人物たちの“目の奥の暗がり”をじっくり見せてくるタイプのサスペンスです。下品なポスターに視線が吸い寄せられる瞬間とか、古いレコードの音に引っ張られて別の時代の自分を演じてしまう感覚とか、人の奥にある衝動や弱さが、説明抜きでそのまま置かれている。そこが妙にリアルで、読みながら「自分にもこういうところあるかもしれない」と急に立ち止まらされます。 さらに、音楽や部屋のライティングみたいな細部が、その人の孤独や歪みを静かに語っていて、ただの不気味さでは終わらない深さがあります。誰かの部屋をそっと覗き込んで、その人の“気配”を感じてしまったときの居心地の悪さと似ていて、妙に後を引くんですよね。 自分の中の説明しにくい違和感や衝動に向き合うのがこわいけれど、どこかで理解したいと思っている人に刺さる作品です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第9章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの33%が集中しています。
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