
オープンダイアローグがひらく精神医療
斎藤 環
日本評論社 / 2019-07-20
この本について
人の相談に向き合うとき、「何を言えば正解なんだろう」とか、「自分の関わり方が余計に状況を悪くしているんじゃないか」と、変な緊張が抜けないことがあります。相手を助けたいのに、どこか押しつけになってしまう感じ。自分でもよく迷います。 『オープンダイアローグがひらく精神医療』を読んで印象的だったのは、治療者が“治そうとしすぎない”ことがむしろ回復の条件になっているという点でした。フィンランドの現場では、専門家が答えを先に決めず、当事者を含む全員で「その人の世界をいっしょに眺める」ことに徹しています。関係者がその場で互いに感じたことを言葉にし、本人の前で話し合う。これによって、当事者のなかに眠っていた意味づけが少しずつ立ち上がってくる様子が、とても現実的に描かれていました。 読んでいて救われたのは、“スペースを奪わない”という姿勢です。何かを決めてあげるのではなく、その人が自分のペースで選べる余白を守ること。叱咤や正しさで動かそうとするのではなく、語られた言葉にひとつずつ応答しながら、その場で起きる変化を待つ。この丁寧さが、実際に病床数の減少という形で成果につながっている、という報告にも説得力があります。 人の悩みに関わる仕事をしていて、「急がずに向き合う方法を知りたい」と感じている人には、かなり刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの28%が集中しています。
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