
俳句のための基礎用語事典 (角川ソフィア文庫)
角川書店
KADOKAWA / 2019-11-21
この本について
創作をしていると、自分の言葉がどこか薄く感じたり、何を書いても「これじゃない」感が抜けなかったりしませんか。俳句に限らず、表現を仕事や生活の中で続けていると、技術の問題なのか、そもそもの視点の持ち方なのか、自分でも判断がつかなくなる時があります。僕も同じで、迷っているときほど文章が荒れます。 この本が面白いのは、作品を評価するための「正解」を教えるというより、俳句という小さな器で世界を見るときの“目の解像度”を上げてくれるところなんですよね。例えば、冬の日差しの揺らぎをただの情景として受け取るのではなく、「旗のごとくなびく」と言語化するための感覚の拾い方が少しわかってくる。そして、能村登四郎の「一句十年」の話にあるように、地味な鍛錬がじわじわ効いてくる世界だと知れるのも、妙に救われます。今すぐ上手くならなくてもいい、積み重ねれば作品が変わる、という実感を静かにくれる。 とはいえ、この本は魔法の道具ではなく、むしろ“目を慣らすための散歩道”みたいな存在です。言葉を丁寧に扱いたい人、短い表現で世界と向き合いたい人にはかなり刺さるはず。俳句をやっていなくても、ひとつの景色を深く味わう感覚を取り戻したいときに、そっと助けてくれる一冊です。
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