
聖なるズー (集英社学芸単行本)
濱野ちひろ
この本について
人との関係にしんどさを感じるとき、相手との距離の取り方がわからなくなったり、自分の「境界線」そのものが揺れることがあります。誰かに影響されすぎて自分が空っぽに思えたり、逆に相手の価値観を理解できずに戸惑ったり。そういうときに、この本の抜粋を読んだ人が強く反応している理由がなんとなくわかる気がします。 『聖なるズー』は動物性愛という極端なテーマを扱っていますが、そこで描かれているのは、人と人、人と動物のあいだでパーソナリティが揺らぎ、関係によって形づくられていくという、生き方の根っこにある問題でした。暴力によって踏みにじられる自己感覚のこと、裏切られない存在と暮らすことでやっと呼吸ができる人がいること、そして「理解できない他者」と向き合うときに自分の価値観がどれだけ狭かったかに気づく瞬間。読みながら、自分の中にも説明しきれない欲望や恐れがあると認めざるを得ませんでした。 この本が効くのは、奇抜な話だからではなく、「人はなぜこうも複雑で、関係はこんなにも壊れやすいのか」を正面から受け止めているからだと思います。自分と他者のあいだにある境界がいつも揺れていると感じている人に、ひとつ別の視点をくれる本です。こんなテーマでも誠実に向き合おうとする姿勢が、自分のモヤモヤにもどこか触れてくるはずです。 「自分という輪郭が他者との関係の中で変わる感覚」に心当たりのある人に、静かに刺さる一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの18%が集中しています。
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