
科学化する仏教 瞑想と心身の近現代 (角川選書)
碧海 寿広
KADOKAWA / 2020-07-28
この本について
仕事でメンタル系の話題に触れたり、瞑想がビジネス書でよく出てきたりすると、「これって本当に“科学的”なのか? それとも宗教っぽいものを都合よく使ってるだけなのか?」と、微妙なもやつきが出ることがあります。便利だから取り入れているだけなのか、背景にきちんとした思想があるのか、その境界がよく分からないまま使ってしまう感じです。 『科学化する仏教』は、そのモヤモヤを歴史の側から丁寧に整理してくれます。仏教と科学が協力したり衝突したりしながら、新しい価値や誤解を生んできたプロセスを追うことで、「なぜ今の日本で瞑想や坐禅が“科学的”なものとして扱われるのか」という疑問が、ちゃんと輪郭を持って見えてくるんです。例えば、ダライ・ラマが科学を前に仏教が誤っていたら捨てるとまで言った姿勢や、逆に仏教のほうが科学より優れていると主張する流れまで含めて、両者の距離感が単純ではないことが分かります。 読み終えるころには、瞑想を実践するにしても、企業研修で坐禅が出てきたときにしても、「これはどういう文脈から来たものなのか」と一歩引いて見られるようになるはずです。宗教か科学かをジャッジするというより、両者が混ざり合う現場を歴史的に理解できるのが、この本のいちばんの効き目です。 「いま広がっている“科学的な仏教”の雰囲気に少し引っかかりがある人」に、とても静かに刺さる一冊だと思います。
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