
すべて忘れてしまうから
燃え殻
扶桑社 / 2020-07-24
この本について
仕事も人間関係も、一応まわってはいるけれど、どこかで「これって本当に自分の人生なのか…?」と立ち止まる日ってありますよね。朝の満員電車に揺られながら、昔の自分が持っていたはずの感覚がどこかへ消えてしまったような、あの置いていかれた感じ。大丈夫に見える日もあるけれど、心のどこかでずっとざわざわしている。そんなときに、この本を開くと少し空気が動くような感覚がありました。 燃え殻さんの言葉は、前向きにしようと無理やり回収してこないところが救いなんですよね。たとえば「生きていると全部が元には戻らない」という一文のあとに、深呼吸と騙し合いみたいな小さな行動がそっと置かれている。壊れた部分を直せとは言わないけれど、そのまま抱えて進む現実の重さを、妙に正直に照らしてくれる。また、祖父の「偉そうにするなよ。疲れるからな」という言葉のように、自分が張り続けていた無意識の姿勢をふっと下ろさせてくれる瞬間が多い。勝ち負けのルールに生活ごと飲み込まれていたと気づく場面もあって、読みながら肩に入っていた力が少しずつ抜けていきました。 うまく言葉にできなかった違和感を、代わりに拾い上げてもらいたい人に向いている本です。毎日をなんとか回しているけれど、このまま慣れてしまっていいのか迷っているときに、そっと横から「そのままでいいよ」とも「変わったほうがいいよ」とも言わず、ただ同じ場所に座ってくれるような一冊でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの43%が集中しています。
読書の順序
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