
伝統芸能の革命児たち (文春e-book)
九龍 ジョー
文藝春秋 / 2020-11-20
この本について
仕事でも日常でも、「自分が属しているはずの枠が、しっくりこない瞬間」があります。肩書きや役割はあるのに、そのとおりに振る舞えない。あるいは、何かを続けたい気持ちはあるのに、昔の“型”に寄せるだけでは前に進まない。そんなモヤつきが最近よく顔を出していました。 この本を読んでいると、伝統芸能の世界でも同じような葛藤が当たり前にあることがわかってきます。たとえば歌舞伎は、外からの圧力で揺さぶられるほど逆に生命力が増すという話が何度も出てきますし、「何が歌舞伎で、何が歌舞伎でないのか」という問いを、当事者たちがずっと更新し続けている姿も描かれています。固定した“正解”より、揺れながら形を変えていくプロセスのほうに本質があるんだなと、こちらの視点が少し柔らかくなる感覚がありました。 もうひとつ印象に残ったのは、身体や声などの表現が、単なる技術ではなく個人そのものと結びついているというところです。ジェンダーの複層性や、音声だけの落語のほうが臨場感が増すという指摘など、「見え方」「聞こえ方」の奥にある人間らしさが静かに浮かび上がってきます。自分の表現や仕事での振る舞いも、決められたフォームに合わせるだけではなく、もう少し“自分ごと”として扱っていいのかもしれないと思わされました。 伝統という言葉に距離を感じてきた人ほど、意外と刺さる内容です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの39%が集中しています。
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