
月まで三キロ(新潮文庫)
伊与原新
新潮社 / 2021-06-24
この本について
最近、仕事でも子育てでも「何が正解なのか全然わからないまま動いているだけだな…」と立ち止まることが多くて。わかろうとすればするほど霧が濃くなるような、あの感じです。同時に、失敗を極力避けたくて、気づけば“うまくいきそうな道”だけ選んでしまっている自分もいる。そんなときに読んだのが、伊与原新さんの『月まで三キロ』でした。 この本は、答えに近づく物語というより、「わからなさと一緒に歩く感覚」を丁寧に描いてくれます。特に印象的だったのは、主人公たちが“わからないことを見つけていく”ことで前に進んでいく姿でした。わかるとは、わけること。まず、自分が何を理解していないのかを見つけるところから始まる。大人になるほど忘れがちな、でも本当は避けて通れない視点を思い出させてくれます。また、自然の中の無機質な美に気づく描写や、月と子どもの距離の比喩が、日常の見え方をそっと変えてくれるのも良かったです。 一歩動くのが怖いとき、正しい選択より「まず手を動かす」ことの意味を教えてくれる。そんな現実的な温度感が、この物語にはあります。自分のペースで悩みと付き合いたい人に、とても合う一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第5章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの33%が集中しています。
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