
この闇と光 (角川文庫)
服部 まゆみ
KADOKAWA
この本について
人と比べて落ち込んだり、逆に自分を守るために誰かを見下してしまったり、そういう自分にあとで嫌気がさすことってありますよね。善い行いをしてもうまくいかない日もあれば、理不尽な出来事に振り回されて「結局この世界はどうなってるんだ」と、考えても答えが出ないまま時間だけが過ぎていく。僕もけっこうそのループに入りがちです。 『この闇と光』の抜粋を読むと、そんな揺れの中にいる読者が引っかかった理由がすごくよく分かります。父親が娘のドレスを言葉だけで丁寧に“見せていく”場面は、世界の輪郭をそっと手渡されるような安心感があって、一方で「人を馬鹿にして自尊心を守っていた」という告白は、自分の弱さに向き合う痛みをそのまま突いてくる。そして「神の意志はランダム」という気づきは、理不尽さに意味づけしすぎて疲れてしまう僕らに、少しだけ肩の力を抜かせてくれます。 この本は、悩みを解決するタイプではないけれど、世界の見え方を少し揺らしてくれるところに効き目があります。物事を単純化しない姿勢や、光と闇が同時に存在する状態をそのまま描く筆致に触れていると、「こう感じていいんだ」と自分に許可が出せるようになるんです。 とくに、他人との距離感にしんどさを抱えている人や、理不尽さに意味を求めすぎて疲れてしまった人には静かに刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第7章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの25%が集中しています。
読書の順序
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