
ぜんぶ運命だったんかい――おじさん社会と女子の一生
笛美
亜紀書房 / 20210720
この本について
政治やジェンダーの話題って、興味はあるのに口に出すと妙に身構えられたり、逆にこちらが身構えたりしますよね。自分の違和感は本当に「大したことない」のか、それとも社会の構造がそう思わせているだけなのか。その境界がよくわからず、私自身も長くモヤモヤしていました。 『ぜんぶ運命だったんかい』は、そのモヤモヤを大きな正義で殴るような本ではありません。むしろ「なんでこんなに生きづらいんだろう」を、実体験と社会の仕組みの両面から丁寧に言語化してくれる一冊です。たとえば、善良な男性ですら“おじさん社会”の中で歪んでいく構造を描く部分は、誰かを悪者にするのではなく、背景を理解するための視点をそっと差し出してくれます。また、政治に関心を持つことさえリスクを伴う空気について書かれた章は、私自身の「話していいのか」という迷いに少し光が入る感覚がありました。 そして何より、「選べなかった人生」を想像するくだりは、自分の選択が他人に評価される前提そのものに疑問を投げてくれます。何かを“選ばなかった”人も含めて、人がそれぞれの人生をそのまま生きていいという当たり前を、やっと思い出させてくれるようでした。現実を無理に明るく見せるわけではないけれど、もう少しだけ呼吸がしやすくなる、そんな位置づけの本です。 政治やジェンダーの話題に興味はあるのに、どう距離を取ればいいか悩んでいる人に刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第4章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの22%が集中しています。
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