
この本について
仕事で誰かを支える立場にいながら、「自分はちゃんとできているのか」とか、「現場での判断や気持ちの揺れを誰にも言えないまま抱えてしまう」みたいな感覚って、けっこうあると思います。私もそうで、作業そのものより“そこに流れている空気”に飲まれることが多いです。 『ヴァイタル・サイン』の抜粋を読んだ人が保存している場面って、まさにその“空気”の部分なんですよね。排泄介助のような丁寧さが問われる手技の最中に、先輩がさりげなく声をかけてくれる感じとか、自分の不器用さや不安を隠したいのに隠しきれない新人の揺れとか、患者の体を支えながら必死に自分の心も支えている瞬間とか。医療ドラマの派手さとはまったく違う、でも現実には確かに存在する「人が人を支えるときの距離感」が静かに描かれています。 この本が効いてくるのは、技術の優劣じゃなくて、“どうしようもなく人間であること”を避けずに見せてくれるところだと思います。誰かに頼りたいのに言えないとき、プロらしさを保ちたいのに揺れてしまうとき、そんな自分を一度受け入れるきっかけになるはずです。医療現場の話ではあるけれど、仕事で人と向き合う人なら、心のどこかに刺さるものがあると思います。 人に寄り添うことに疲れたとき、自分の未熟さに落ち込みやすい人に届く一冊です。
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