
オメガ城の惨劇 SAIKAWA Sohei’s Last Case (講談社ノベルス)
森博嗣
講談社 / 2022-10-14
この本について
仕事でも日常でも、つい「期待しすぎてしんどくなる」ことってありませんか。うまくいく理由を探して自分を煽ったり、逆に説明のつかない出来事に無理やり理由を当てはめて安心しようとしたり。頭では分かっていても、心の方が先に疲れてしまうようなあの感じです。 『オメガ城の惨劇』の抜粋を読んでいると、そうした“自分の思考グセ”に静かに切り込みながらも、説教くささがないのが不思議なんですよね。「期待がつまらなさを呼ぶ」「理由がない行為もある」「まず反証から考える」みたいなセリフが、ミステリの会話として淡々と出てくるのに、こちらの生活の中にそのまま置けてしまう。考えることを急かされず、でも確かに視点がずれる、そんな読書体験でした。 特に、暗闇で上下の感覚を重力で確かめるシーンは、自分の足元を見直すような感覚に近いし、「ピンクの猫」と「象サイズの猫」の話は、現実をどう疑うかという態度そのものを問い直してくれます。事件の真相を追いながら、いつの間にか自分の思い込みの仕組みまで見えてくる。ミステリを読んでいるのに、頭の奥が静かに整理されていくような感じです。 流行りよりも、自分の思考の癖と向き合いたい人に刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第6章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの30%が集中しています。
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