
暗殺 (幻冬舎単行本)
柴田哲孝
PHP研究所 / 2023-07-14
この本について
ニュースを見ていて、「表に出てくる話だけでは辻褄が合わないな」と感じることが増えました。陰謀論に飛びつきたいわけじゃないけれど、世の中の動きがどうにも腑に落ちない。そんなモヤモヤを抱えたまま日々を過ごしている人は、意外と多い気がします。僕自身もそのひとりです。 『暗殺』は、実在の組織名や歴史的事件が物語に巧妙に絡められていて、まるで現実と虚構の境目が揺らぐような感覚になります。ただし、ここで描かれるのは事実の断定ではなく、「もしこういう力学が裏側にあったら」というフィクションとしての仮説。その“仮説”が、普段のニュースを自分なりに読み解くための視点を与えてくれるところが、この作品の面白さだと思いました。例えば、自分が当然だと思っていた政治の仕組みや、メディア報道の裏側にある動きに対して、「それは誰の得になるのか?」と一歩立ち止まれるようになる。あるいは、歴史や制度を“固定された事実”として受け取るのではなく、“人の意思によって形づくられたもの”として眺められるようになる。そんな気づきがじわっと残ります。 過度に真に受ける必要はまったくありません。でも、世界の見え方をちょっとだけ揺らしてくれる小説を探している人には刺さるはずです。フィクションを通して現実の読み方を変えたい、そんな人に向いている一冊でした。
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