
絶望ハンドブック
坂口恭平
エランド・プレス / 2024-12-07
この本について
しんどいときって、横になっても休めていない感じがしますよね。何もしていないのに、頭の中だけが勝手に動き続けて、自己否定が止まらなくなるあの感じ。周りから見れば「ただ寝ているだけ」に見えるのに、本人の内側ではまったく別の世界が起きている。そういう状態を言語化してくれる本って意外と少ないなと思います。 『絶望ハンドブック』は、絶望をひとまとめにせず、段階や種類として捉え直してくれるところがまず大きいです。「これは危険な絶望だ」とか「今は時間が伸びているだけかもしれない」とか、状態に名前がつくと、少しだけ距離が生まれる。そして坂口さんが何度も書いているように、考えるのではなく、手を動かして「つくる」ことで自己否定の波から抜ける感覚が、具体的な行動として提示されているのが救いになります。寝ても休まらないなら、10時までの数時間だけでも、とにかくつくる。だれに見せなくてもいい。その現実的なラインが、この本のいちばん誠実なところだと思います。 絶望を消すとか、前向きになれるとか、そういう方向には一切押し流してこないので、読んでいて変に疲れません。ただ「ひとりで自分を殴り続ける行為はやめよう」と、ごく静かに置いてくれる。自分の苦しみを“状態”として扱うだけで、こんなに呼吸が入りやすくなるのかと感じました。 いま「何もできないのに、頭だけが止まらない」という人には、とくに刺さると思います。
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