
時間・自己・幻想 東洋哲学と新実在論の出会い (PHP新書)
マルクス・ガブリエル, 月谷 真紀, and 大野 和基
PHP研究所 / 2025-04-15
この本について
仕事をしていると、ものごとを「効率よく片づけるか」「成果につながるか」で判断しがちですが、ふと立ち止まると、それだけでは説明しきれない違和感が残ることがあります。人との関係や時間の流れ、自分の感情の揺れ方まで、理屈の枠に収まらない。なのに答えを急いでしまう。この本を読んでいて、僕自身そのクセに気づかされました。 ガブリエルが語る「実体」や「時間」の捉え方は、抽象的に見えて、日常の見え方をゆっくり変えてきます。たとえば清水寺の話。揺れるから持つ、固定しないから安定するという視点は、人間関係やキャリアにもそのまま当てはまるように思いました。無理に固めるほど壊れやすくなるというあの感覚にも近いです。また、「これをやれば、これを得られる」という道具的な発想に縛られたとき、自分の世界の見方がどれほど狭くなっていたのかにも気づかされます。 東洋と西洋を比較しながら、曖昧さを排除せずに考えることの価値を示してくれるので、すぐに結論を出そうと焦ってしまう人にとっては、呼吸をひとつ置けるような本だと思います。特に、ものごとの変化にうまくつき合えず「どこに立てばいいか分からない」と感じている人には静かに刺さるはずです。
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