
子どもの体験 学びと格差 負の連鎖を断ち切るために (文春新書)
おおた としまさ
この本について
子どもの「体験」について考えるとき、どうしてもお金や回数に意識が向きがちですよね。自分の子ども時代を思い返しても、あれも足りなかった、これもしておけばよかった…と妙な比較ゲームに巻き込まれそうになる。けれど、どこかで「本当に大事なのはそこじゃないのでは?」という違和感も残る。そんなモヤモヤを、言語化してくれた本でした。 読んでいて印象に残ったのは、体験を「消費」ではなく「贈与」として捉える視点です。豪華なイベントや肩書きになるような活動よりも、安心できる関係の中で、自分を出せる時間のほうが子どもの内側に残る。近所の川原での素朴なバーベキューが、無人島キャンプに勝つことだってある。そう聞くと一気に肩の力が抜けました。また、非認知能力ブームや体験格差といった“流行の言葉”の裏側を丁寧にほどいてくれるので、「なんとなく不安だから体験を積ませる」という発想が、どれだけ社会構造と結びついているかに気づかされます。 もうひとつ大きかったのは、「公正な競争をどう実現するか」ではなく、「そもそも公正な競争など存在しない前提で社会を考え直そう」という姿勢です。これは子育て中の人だけでなく、教育や格差に関する議論に少しでもモヤっとしてきた人なら刺さるはずです。 子どもの体験をめぐって、焦りや罪悪感を抱えがちな大人にこそ、いったん立ち止まるきっかけをくれる一冊でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの20%が集中しています。
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