
イン・ザ・プール ドクター伊良部 (文春文庫)
奥田 英朗
文藝春秋 / 2006-03-10
この本について
仕事でも人間関係でも、気をつかいすぎて勝手に疲れてしまう時ってありますよね。相手の機嫌を読んだり、迷惑をかけないように細かく調整したり。やっている自分でも「なんでこんなに気を回してるんだろう」と苦笑いするような、あの感じです。 『イン・ザ・プール』を読んでいて刺さったのは、伊良部医師のあの無邪気さでした。好かれたいとも嫌われたいとも思っていない、他人のペースに合わせる気がそもそもない。あの図太さに触れると、自分がどれだけ“気にしすぎ”のモードで日常を送っているかが可視化されるというか、肩の力が抜けていきます。ストレスを「なくそう」と頑張るより、別のところに意識を向けた方がいいという言葉も、やけに現実的で安心しました。泳ぐ場面の強引さも、ただ迷惑なだけじゃなくて、「自分の予定ばかり優先してたな」と気づかせてくれる妙な説得力があります。 この本は、人生を劇的に変えてくれるタイプの本ではないと思います。ただ、他人に合わせてばかりで疲れがちな人にとっては、自分の中にちょっとした“遊び”を作るきっかけにはなるはずです。気を張りすぎる癖を一度ゆるめてみたい人に、静かに効く作品だと思います。
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