
日本のリアル 農業、漁業、林業、そして食卓を語り合う (PHP新書)
養老 孟司
PHP研究所 / 2012-08-01
この本について
食べ物やエネルギーの話になると、どこか自分の生活とつながっている気がするのに、実感が持てないまま終わってしまうことがよくあります。環境問題も農業も「大事なのは分かるけど、自分には遠い」というあの感覚です。僕も同じで、頭では理解しているつもりでも、日常の行動に落とし込めずにずっとモヤモヤしていました。 この本が面白いのは、難しい議論よりも「自然の仕組みのあまりの緻密さ」を静かに突きつけてくるところです。クローバーの根粒菌が土に窒素を戻していたり、森のフルボ酸が海のカキを育てていたり、アムール川の鉄分が何千キロも流れて三陸沖の漁場まで効いていたり。自分の生活圏からは見えないつながりが、現実の食卓にしっかり関係している。そう思うと、普段の「買って食べて終わり」みたいな感覚が少し揺らぎます。 そして養老さんが示す視点は、自然だけでなく社会にも向いていて、「環境」を言葉として立てた瞬間に「自己」が分離する、とか、子どもが授業を値切るように振る舞う時代背景とか、一見バラバラの話が実は同じ線でつながっているように感じられます。これが妙に腑に落ちて、物事を一段階深いところで見られるようになるんです。 自然や社会のしくみを、肩張らずに“自分の生活の延長として”理解したい人にはかなり刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの17%が集中しています。
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