
唯脳論 (ちくま学芸文庫)
養老孟司
実業之日本社 / 2026-02-01
この本について
仕事で判断に迷ったり、人間関係でモヤっとしたとき、「結局、なんで自分はこう感じるんだろう」と立ち止まる瞬間があります。考え方のクセなのか、性格なのか、それとも環境のせいなのか。理由がつかめず、ただ自分を責めてしまうこともあると思います。 養老孟司さんの『唯脳論』は、そういう行き詰まりに対して、「そもそもヒトの感じ方や考え方って、脳がそうできているからだよ」という視点を差し出してくれます。読んでいて刺さるのは、脳と心を別物として扱おうとする私たちの習性自体が、脳の構造に由来するというところ。悩みのなかにいると、自分だけが複雑で扱いにくい存在のように感じがちですが、著者は「ヒトは五万年変わっていない」と言い切る。その距離感が、かえって肩の力を抜かせてくれます。 また、お金や言葉、社会のルールまでもが、脳の信号や構造の延長で説明されていくのは、仕事の悩みを外側の問題としてだけ見るのではなく、「自分の脳がどう世界を切り取っているのか」という内側の視点を持ち直すきっかけになります。実証と観念のあいだで揺れ続ける人間の弱さも、否定せずにそのまま認める姿勢が心地よいです。 世界の捉え方に行き詰まったとき、一度「脳」という土台から見直してみたい人に向いています。
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