
遺言。(新潮新書) (「壁」シリーズ)
養老孟司
主婦の友社 / 2019-07-31
この本について
都市で働いていると、気づかないうちに「意味」ばかり追いかけてしまう時があります。頭では説明できるのに、なんとなくしんどい。自然の中に行くと少しほっとするのも、理由が言語化できない。この感覚の置き場がわからないまま、また日常に戻る。その繰り返しに、うっすら疲れることがあると思います。 養老孟司さんの『遺言。』は、その正体を「意識と言葉が強すぎるから」とあっさり示してきます。カントやデカルトの名前が突然出てきても、話の芯はずっとシンプルで、ヒトは“感覚”を置き去りにして文明を作ってきたという一点に戻っていきます。都市生活で感覚入力が削がれ、意味だけが肥大化する。だから説明できない気分を抱えたままになる。そんな構造を、山道とオフィスの違いみたいな具体例で腑に落とさせてくれるのがありがたいところです。 読んでいると、「自分のモヤモヤが“個人の不調”ではなく、“人間の仕組み”に近いものかもしれない」と視点が変わります。アートに惹かれる理由や、AIに不安を感じる理由、さらには“同じ”を積み上げる文明の限界まで、無理なくつながっていく感じがあります。理屈で全部説明できない自分を、少し許せるようになる本です。 頭で考えすぎて疲れがちな人に、静かに刺さる一冊だと思います。
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多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの15%が集中しています。
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