
大人のADHD ――もっとも身近な発達障害 (ちくま新書)
岩波明
この本について
仕事の段取りがうまく組めないとか、相手の話を最後まで聞けずに後で自己嫌悪になるとか、気づけば大事な作業からそれてしまうとか。原因は分からないけど「なんで自分だけこんなに噛み合わないんだろう」と感じること、僕自身けっこうあります。 この本は、そういうモヤモヤを“性格の問題”で片づけず、脳の特性として丁寧に言語化してくれるところが助かります。頭の中で衝動的な思考が途切れずに巡っていると、対話で一部が飛んでしまう理由が腑に落ちますし、集中できる・できないの波にも、持続性や転換性といった仕組みの違いがあると知るだけで、対処の仕方が少し変わってきます。職場で「指示を聞いていない」と誤解されやすい背景や、人間関係がこじれやすい理由も、行動の裏にあるプロセスとして説明されているので、必要以上に自分を責めずに済む感じがあります。 治療薬の話など専門的な内容もありますが、読みながら「自分の困りごとを構造で捉え直す」感覚が強い本でした。特定の行動を矯正するというより、どういう場面でつまずきが起きやすいのかがはっきりするので、少しだけ生活の組み立て方が現実的になります。 自分の「噛み合わなさ」に説明がつかずに疲れている人に、静かに効く一冊だと思います。
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