
映画にまつわるXについて (実業之日本社文庫)
西川 美和
実業之日本社 / 2015-08-15
この本について
仕事にせよ創作にせよ、「そこまでやる意味が本当にあるのか」と急に足が止まる瞬間ってありますよね。やっていることが急に薄っぺらく思えたり、逆に無駄に肩に力が入って自分でもよく分からなくなったり。僕もよくその沼に沈みます。 『映画にまつわるXについて』を読むと、そんな迷いが少しだけ形を持って現れてくる感覚がありました。子猫のシーンで語られる“戦場のような現場”と、そこでふと訪れる「こんなことで命を削る意味はあるのか」という揺らぎ。あるいは、三十キロのキャメラを担ぐ撮影部が、ご神体みたいな重さを抱えながらも「キャメラ通りまーす」と道を切り開くあの瞬間。そこには、理屈じゃなく「どうしてもやる側」に立ってしまう人間の姿が、妙に生々しく置かれています。 読んでいると、自分の仕事に置き換えざるを得ないんです。無駄に見えるこだわりをなぜ手放せないのか。言葉にできない違和感を抱えながら、でも一歩引けば何かが壊れる気がして前に出るしかない場面。西川さんはそれを大声で励ますわけでもなく、ただ淡々と差し出してくれるからこそ、読者側の“引っかかり”が逆に浮き上がるような感じがします。 「自分はなぜこれをやっているんだろう」と立ち止まることが増えた人には、特に静かに刺さる本だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの25%が集中しています。
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