
世界の野菜を旅する (講談社現代新書)
玉村豊男
この本について
料理って毎日のことなのに、なんでこんなにも「ただ作って食べて終わり」になりがちなんだろう……と、よく思います。献立を考えるのが億劫になったり、食材を選ぶ理由もだんだん曖昧になってきたりして、どこか“作業”みたいになってしまう。そんなとき、この本を読むと、野菜ひとつにもとんでもない物語が眠っていることを思い出させてくれます。 たとえば、アイルランドがジャガイモで国の運命まで左右されていた話や、コショウが金と同じ価値だった時代の空気。あるいは、ナスが大陸を渡るごとに名前を変えていく長い旅路。どれも普段の台所の風景とはまったく別世界の話なのに、読み終わるころには「今日のカレーのスパイス、もとはどんな旅をしてきたんだろう」と、自然と手元の食事が違って見えてきます。知識が増えるというより、食べものとの距離感がゆるく縮まる感じです。 そして、この本がいいのは、どこか著者自身の“好きなものを深掘りしていく楽しさ”がそのまま伝わってくるところ。ニンニクやナスの話を熱量たっぷりに語る姿を見ていると、「別に高級じゃなくていいし、むしろ安い食材のほうが人生を豊かにしてくれる瞬間もあるよな」と思えてきます。食卓にちょっと飽きが来ている人や、料理に意味を取り戻したい人には特に刺さるはずです。 日々のごはんに、もう少しだけ背景の深さを足したくなったときにそっと開きたくなる一冊でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの22%が集中しています。
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