
誰もボクを見ていない なぜ17歳の少年は、祖父母を殺害したのか
山寺香
この本について
最近、人の「優しさ」が実際に届いているのか分からなくなることがあります。誰かを気にかけていても、それが相手に伝わらなければ意味があるのか、というあのモヤモヤです。周囲に人はいるのに孤立は起きるし、「支援」や「善意」が現実を動かせない場面にも何度か出会ってきました。 『誰もボクを見ていない』は、その問いを真正面から突きつけてきます。読んでいて胸がざわつくのは、優希が置かれていた状況があまりに複雑で、外から見える事実と本人が感じていた世界がまったく噛み合っていなかったところです。「かわいそう」と思われても届かない、「善意」が行動を伴わない限り現実は変わらない。あの抜粋に保存が集まるのは、多くの人がそこに自分の経験を重ねたからだと思います。 この本の効き方は、派手ではないです。ただ、 ・人が追い詰められていく過程を構造として見られる ・孤立や貧困を“個人の問題”として片づけられない理由が具体的にわかる ・当事者の声が、支援や制度の「何が足りていないか」を浮かび上がらせる そんな静かな現実味があります。読後に、自分の中の判断基準が少し変わります。誰かの行動の裏にある「見えない要因」を想像する余白が増える感じです。 特に、誰かを支えたいのにうまく届かないと感じている人には刺さると思います。自分の無力さと向き合うのはしんどいですが、そこに名前をつけてくれる本でもあります。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第9章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの20%が集中しています。
読書の順序
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