
あふれでたのは やさしさだった
寮美千子
西日本出版社 / 20181203
この本について
最近、人と話していて「受けとめるって、どうやればいいんだろう」と手が止まることが多くなりました。励ましたつもりが相手を追い詰めてしまったり、違う意見を言うのが正しいのか迷ったり。自分でもよくわからないまま必死にやっている感じ、心当たりある人は多いと思います。 『あふれでたのは やさしさだった』を読んで、いくつかの場面が静かに効いてきました。一つは「安全な場では、人は勝手に変わる」という描写。注意もしない、評価もしない。ただ安心できる環境をつくるだけで、声の出なかった子が自分のタイミングで話しはじめる。無理に背中を押すより、相手のペースを信じて待つ方が、結果としてずっと大きな変化になるという事実が、妙に胸に残りました。 もう一つは、「共感だけが受けとめじゃない」という話。相手と同じ気持ちになれなくても、否定せずに自分の考えを静かに伝えることも関係をつなぐ方法なんだと知ると、少し気が楽になります。無理に“やさしい言葉”を探す必要がなくなるからです。そして何より、彼ら自身が言葉を持ち寄り、響きあうことで変わっていく場面が、こちらの凝り固まった思い込みまでほどいてくれます。 人との距離感に悩んでいる人、誰かの力になりたいのに空回りしている気がする人には、そっと効くはずです。自分を追い立てずに、ただ「待つ」ことの意味を思い出させてくれる本でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの30%が集中しています。
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