
ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー(新潮文庫)
ブレイディみかこ
新潮社 / 2021-06-24
この本について
最近、「人に何か言われたわけじゃないのに、空気に同調してしまう場面が増えてないか」と思うことがあります。誰かを直接傷つけたわけでもない“関係ない側”に自分もいる気がして、なんとなく胸の奥がざわつく。多様性だの分断だのと耳に入るたび、結局どう向き合えばいいのか正直よく分からないまま日々が過ぎていきます。 この本は、そのモヤモヤを「正しさ」で押し流すタイプの本ではなくて、著者と息子の日常を通して、自分の中にある思い込みや居心地のいい枠が少し揺れる感じがあります。例えば、いじめの中心にいるのが“無関係な子たち”だったり、善意が万能ではなくて、支える仕組みそのものが必要なんだと気づかされたり。あるいは、子どもが当たり前のように受け止めている多様さに、大人のほうが励まされる瞬間もある。そういうシーンが淡々と描かれていて、読みながら自分の視野の狭さをそっと指摘されるような感覚があります。 特に「ものごとを一つにまとめようとする風潮が強くなっている」という言葉は、最近の息苦しさそのものだと思います。自分の枠が揺れたときの抵抗や恥ずかしさも、息子との会話の中で自然に描かれているので、変わることを“良いか悪いか”みたいに判断せずに、そのまま見つめてもいいんだと思えました。 迷ったままでも前に進みたい人、世界の複雑さに疲れている人には、静かに効く一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第3章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの29%が集中しています。
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