
他者の靴を履く アナーキック・エンパシーのすすめ (文春文庫)
ブレイディみかこ
文藝春秋 / 2024-05-08
この本について
自分とは考え方の違う相手に出会ったとき、距離の取り方が分からなくて疲れることがあります。相手に合わせすぎても苦しいし、突き放すとそれはそれで後味が悪い。しかも、世の中はすぐに「敵か味方か」で線を引こうとしてくるので、どこに立てばいいのか迷うんですよね。 この本が面白いのは、その迷いを「仕方ないよね」で終わらせず、エンパシーを“感情ではなく能力”として扱っているところです。かわいそうだと思える相手だけに寄り添うんじゃなくて、むしろ自分とは相容れない相手の立場を想像してみる。そのためには、自分の靴がどんな作りをしているかをちゃんと知っておく必要があるし、逆にそこに固執しすぎると、他者の靴なんて一生履けない。特に、「属性に守られている感じ」を頼りにしてしまうタイプほど、気づかないうちに視野が狭くなっているという指摘は痛いところを突いてきます。 読んでいて感じたのは、エンパシーを身につけることは“やさしい人になる”話ではなく、思考停止を避けるための一種の知的トレーニングなんだということです。相手に寄りすぎて自分を見失ってしまう危険さにも触れていて、単純な共感礼賛にも否定にも流れないバランスがありがたい。 他者との距離感がいつも難しい、と感じている人にとっては、静かに効いてくる本だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの14%が集中しています。
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