
魔除けの民俗学 家・道具・災害の俗信 (角川選書)
常光 徹
KADOKAWA / 2019-07-20
この本について
最近、ニュースを見ているだけで気持ちがざわつくことが増えました。理由ははっきりしないのに、どこか落ち着かない。自分でも説明しづらい不安にどう折り合いをつければいいのか、僕もずっと手探りです。そんなときに読んだのが『魔除けの民俗学』でした。問題を解決してくれるというより、「人は昔からこういう不安と付き合ってきたんだ」と視点をずらしてくれる本でした。 たとえば、地震に怯える人が和歌を書いた紙を門に貼って安心しようとした話。現代からみればおまじないですが、当時の人にとっては現実的な行動だったという指摘に、妙に納得させられました。不安そのものを否定せず、形にして扱おうとする姿勢は、いまの僕らにもけっこう近いのかもしれません。また、災害の破壊の中に「世直し」的な再生の力が生まれるという見方も、状況が混乱しているほど、どこかで立て直そうとする心が動き出すのは人間の自然な反応なんだと感じました。 こういう話が続く本なので、読み終わっても「守られた」感じがするわけではありません。でも、自分の中のモヤモヤに名前がつくような、小さな手応えがあります。呪具や祓いの構造といった一見遠いテーマも、実は人が不安を処理するための工夫として読むと急に身近になります。 昔の人の工夫を手がかりに、自分の不安との距離感を変えてみたい人に刺さる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの50%が集中しています。
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