
原子力時代における哲学
國分功一郎
晶文社 / 20190925
この本について
エネルギー政策とか技術の進歩って、日常ではあまり意識しないのに、ふとした瞬間に「本当にコントロールできているのか?」と不安になることがあります。議論が数字や制度の話に寄りすぎて、自分の足元の感覚が置いてけぼりになる感じもあります。考えたいのはそこじゃないのに、どこから向き合えばいいかわからないまま時間だけが過ぎていくような、あのモヤモヤです。 『原子力時代における哲学』は、そうした不安を「技術の問題」ではなく「人間の想像力や欲望の問題」として捉え直してくれます。たとえば、管理し続けなければ暴走する技術を前に、「管理できている」と思い込むのはなぜなのか。あるいは、道具によって真理が“民主化”されたことで、人間の能力への不信がどう生まれたのか。これらを歴史や哲学の文脈に置き直すことで、今の不安がただの感情ではなく、筋の通った反応だったことに気づけます。 読んでいると、原子力に限らず、自分がつい「コントロールできているつもり」で接しているものが、実際には扱い切れていないのではないか、という怖さと同時に少しの冷静さが生まれます。技術そのものを善悪で裁くのではなく、そこに潜む欲望や無自覚な前提を見せてくれるので、議論の入口が変わる感覚があります。 技術の話題になると「正しい答え」を急ぎたくなる人ほど刺さる本だと思います。
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多くの読者は第9章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの40%が集中しています。
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