
独裁の政治思想 (角川ソフィア文庫)
猪木 正道
KADOKAWA / 2019-10-24
この本について
仕事でもニュースでも、何か大きな力が動く場面を見るたびに、「どこから正しくて、どこから歪むのか」がよく分からなくなることがあります。リーダーシップや組織論の本を読んでも腑に落ちないのは、そもそも権力そのものの成り立ちを知らないまま判断していたからなんじゃないか…と、この本を読んで思いました。 『独裁の政治思想』が面白いのは、ヒトラーやスターリンといった誰もが知る独裁者を「善悪」で語らず、ローマの独裁官制までさかのぼって、権力がどの瞬間に“例外対応”から“恒常的な支配”へと変質するのかを淡々と追っていくところです。読んでいるうちに、自分が組織の中で見てきた「合理の名の下に例外が続いてしまう瞬間」や、「誰も止めなくなる構造」と地続きに感じられて、ちょっと背筋が伸びました。 また、独裁が必ずしも暴政から始まるわけではなく、むしろ混乱への対処として生まれるという視点も、物事の判断を一段落ち着いた距離から見直すきっかけになります。特に、受任的な独裁が環境の変化で主権独裁へと転じていく流れは、どんな組織でも起こりうる“仕組みの劣化”として読めるのが現実的です。 社会の動きにモヤモヤしがちな人や、「権力」という言葉に少し距離があるまま仕事をしている人には刺さると思います。自分の判断基準の足場を固めたいときに、静かに効いてくる一冊でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの67%が集中しています。
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