
創作する遺伝子―僕が愛したMEMEたち―(新潮文庫) (創作する遺伝子シリーズ)
小島秀夫
この本について
最近、本を読んだり映画を観たりしても「自分の現実ってそんなに変わらないよな…」と感じることが増えていました。疑似体験でしかないし、実際に行動が変わらなきゃ意味がないんじゃないか、と。でも、この本を読んでみると、その思い込み自体がけっこう狭かったんだと気づかされました。 小島秀夫さんは、本や映画に触れることを「現実の入口に立つ体験」として書いています。ただの知識でも気分転換でもなく、気づかないうちに自分の判断や視点に混ざり込んでいく“文化的な遺伝子”として。本を選ぶという日常の小さな行為が、後でふとした行動に形を変えて戻ってくる。その感覚に心当たりがある人は多いと思います。また、映画解説者の話も印象的で、批評ではなく“安心して未知の世界に足を踏み入れさせてくれる導き”があるからこそ、新しい物語を受け取れたという視点が、今の情報過多の時代にもそのまま響きます。 個人的には、トラヴィスの格好を真似して街を歩くシーンがとても好きで、「作品を通じて別の自分を生きてみる」という感覚のリアリティを久しぶりに思い出しました。疑似体験かどうかではなく、それによって今日の自分の振る舞いが一ミリでも変わるなら、それはもう体験なんですよね。 物語との距離感が曖昧になってきている今、「なんで自分は物語に惹かれるんだろう」と立ち止まったことがある人に刺さる一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの50%が集中しています。
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