
推し、燃ゆ
宇佐見りん
河出書房新社 / 2020-09-10
この本について
生活の最低限ですらこぼれ落ちていくとき、自分の重さをどこに置いておけばいいのか分からなくなることがあります。ちゃんとやらなきゃと思うほど体も意志も途切れて、結局なにも進められず、でも何もしないほうが苦しいこともある。そんな循環に覚えがある人には、「推し、燃ゆ」に散りばめられている感覚がやけに具体的に届くと思います。 この本が効くのは、まず「自分の重さに名前がつくと一度は楽になるけど、そこにもたれかかってしまう感覚」をまるごと拾い上げてくれるところです。作者が描く肉体の重さや、視界の色、朝の気配の描写があまりに生々しくて、言葉にできなかった自分の状態が輪郭を持ち始める。さらに、推しという存在に寄りかかることでどうにか日々を動かしていた主人公の姿が、逃げでも依存でもなく「そうでもしないと立てなかった日」の現実そのままに描かれています。そして、推しの喪失に向き合う場面では、誰かを軸にして生きてきた人なら避けてきた問いが、無理にまとめられずそのまま置かれます。そこが逆に安心します。 刺さるのは、「何かを背骨にしてようやく立ってきた人」。読んで救われるというより、自分の奥に沈んでいた感情が少しだけ呼び覚まされ、ああ、こういうふうに生きてきたんだなと静かに気づかされる一冊です。
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ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの22%が集中しています。
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