
手の倫理 (講談社選書メチエ)
伊藤亜紗
ミシマ社 / 20220915
この本について
人と関わるとき、「距離の取り方がいつも分からない」「相手を思って動いたつもりが、逆にぎこちなさを生む」みたいな場面ってけっこうありませんか。自分では丁寧にやっているつもりでも、どこか一方通行になっている感じがして、モヤっと残るあの感じです。 『手の倫理』は、そのモヤモヤを“触れる”という行為から考え直してくれる本でした。触覚って、安心や確かさを与えるはずなのに、実は不確実で、相手を信じないと成立しない。だからこそ、そこには「ライブ感」があるし、相手との関係がその場で変わっていく余白があるんだと腑に落ちました。見て知っている相手でも、触れた瞬間に“出会い直す”ようなショックがあるという話も、自分の経験と妙に重なります。相手をどう理解するかより、どう関わりを“つくっていく”かに目線が移る感じです。 この本が面白いのは、倫理を綺麗な一般論で語らないところです。触れ方によって相手から引き出される情報が変わるように、関係も状況も固定されない。安心を求めすぎると関係が閉じていくけれど、少し不確実な場所に身を置くと信頼が芽生える。その感覚は、仕事のコミュニケーションにも、人間関係にもけっこう直結します。 視線中心の世界で、他者との距離感に悩む人に刺さる本だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの22%が集中しています。
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