
近代家族の成立と終焉 新版 (岩波現代文庫)
上野 千鶴子
岩波書店 / 2020-06-16
この本について
家族のことを考えるとき、どうしてこんなに正解が見えづらいんだろう…と立ち止まる瞬間がありませんか。自分の育った家族の形と、今の社会で求められる関係性がうまく噛み合わない感じ。あるいは「家族ってそもそも何を支えるための仕組みなんだっけ」と、言葉にしづらいモヤモヤが積み重なっていくような感覚です。 『近代家族の成立と終焉』を読んで刺さったのは、そのモヤモヤを「あなたの勘違いではなく、歴史の変動に伴うズレ」として扱ってくれるところでした。性のつながりが長期的に安定しづらくなった一方で、ケアのつながりだけは依然として人が生きるために不可欠なまま残っているという指摘は、自分がなぜ“家族観”に整理のつかない違和感を覚えるのかを説明してくれます。また、家族を固定的な文化ではなく、変動する仕組みとして見る視点は、「今の形に無理があるのは自分のせいではないのかもしれない」という小さな救いにもなりました。さらに、単親世帯やケアを担う人々が制度からこぼれ落ちやすい現実を冷静に示してくれるので、“何が守られるべき関係なのか”を、自分の生活にひきつけて考えやすくなります。 家族の話題になるとしんどくなりやすい人、あるいは「自分の立っている場所をいったん言語化したい」と感じている人には、とても静かに効く一冊だと思います。
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