
ビューティフルからビューティフルへ
日比野コレコ
河出書房新社 / 2022-11-17
この本について
ふつうに生きているだけなのに、他人の「正しさ」や「善意」に押しつぶされそうになることってありますよね。弱っているときほど、誰かの好意が暴力みたいに感じる、あの説明しづらい苦しさ。私も言葉にできないまま抱え込んでしまうことが多くて、出口が見えないまましんどくなるタイプです。 『ビューティフルからビューティフルへ』は、そういう「どこにも置き場のない感情」をそのままのかたちで描いてくれます。たとえば、自分の好きなものを好きと言うことすら許されなかったナナが、人に向けられた善意や正義にどう傷つき、どう反発し、どうやって自分の輪郭を保とうとしたのか。読んでいると、心の奥でずっと説明できなかった感覚に、「これだったのかも」と触れられた気がしました。人間関係でうまく怒れない人や、誰かの善意が重く感じてしまう人には、とくに沁みると思います。 とはいえ、この本は救いばかりを配ってくれるわけじゃありません。ネグレクト、依存、いじめ、自己肯定感の欠如…重さを直視したまま物語が進むので、人によっては痛いと思います。でも、その痛さの中に、自分の中にたまった感情を「ここに置いていい」と言われているような静かな安心感がありました。 誰かの気持ちに応えるより先に、自分の生々しい感情を見つめるしかない時期にいる人に届く一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第4章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの22%が集中しています。
読書の順序
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