
母という呪縛 娘という牢獄
齊藤彩
講談社 / 2022-12-16
この本について
親との距離感にずっとモヤモヤしてきた人って、どこまでが「普通」で、どこからが「しんどさ」なのか分からなくなることがあります。期待に応えたくて嘘を飲み込みつづけたり、成績や機嫌で家の空気が決まったり、自分の感情より「どう思われるか」を優先するクセが抜けなかったり。読者の方が保存していた抜粋を見ていると、その感覚に心当たりがある人が多いんじゃないかと思いました。 この本が効くのは、親子関係のしんどさをただ「つらかった」で終わらせず、どうしてそうなるのか、当事者の目線で具体的に追えるところです。たとえば、嘘をつかざるを得なくなるプロセスが細かい描写で語られていて、単なる「毒親」というラベルでは片づけられない積み重ねが見えてきます。また、白黒つけないと落ち着けない性格になっていく背景や、親の「良かれ」がどこで暴走していくのかが丁寧に描かれていて、自分の家庭を振り返るきっかけにもなると思います。そして、裁判の場面で初めて自分のしんどさが理解される瞬間は、誰かに分かってほしかった気持ちを思い出す人もいるかもしれません。 自分の家族を「どこかおかしかったのかもしれない」と薄々感じてきた人に、静かに刺さる本です。親を責めるでも擁護するでもなく、当事者の足取りと混乱をそのまま追うことで、自分の感情に名前をつける手がかりが見えてきます。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの33%が集中しています。
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