
深く、しっかり息をして 川上未映子エッセイ集
川上未映子
マガジンハウス / 2023-07-07
この本について
人間関係のことで説明のつかないしんどさが続いたり、「これって私だけが変なんだろうか」と思ったまま飲み込んでしまう瞬間ってありますよね。言葉にできないまま蓄積されていく違和感や、誰かとの距離の取り方に迷う感じ。私もけっこう長いこと、そのモヤモヤを「まあこういうものか」で流してきました。 川上未映子さんの『深く、しっかり息をして』は、その“飲み込んでいたもの”に静かに光を当ててくれる本でした。たとえば、孤独の最小単位はひとりじゃなくて「ふたり」なのではという指摘に、自分の過去の関係のどこが苦しかったのかがふっと腑に落ちたり。結婚や恋愛に貼られた「当たり前」の境界線が、実はどれほど身体や感情に無理を強いているのかを、少し距離を置いて見つめ直せたりします。また、日常の小さな違和感を言葉にして考えることが、どれだけ自分を守る力になるのかも丁寧に書かれていて、読みながら何度も姿勢を正されました。 全体として、誰かを断罪するというより、「私たちはこういう場所で生きてきたんだよね」と寄り添ってくれる語り口が続くので、読んでいて変にしんどくならないのも良かったです。とくに、「自分の感じたことの説明がうまくできないまま、大事な場面をやり過ごしてしまうことが多い人」には深く刺さると思います。 自分の息の仕方を立て直したいときに、そっとそばに置いておける一冊でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第6章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの30%が集中しています。
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