
ウクライナ動乱 ――ソ連解体から露ウ戦争まで (ちくま新書)
松里公孝
この本について
国際ニュースを見るたびに、「結局この戦争は大国同士の思惑で動いているんでしょ」とか、「でも本当のところ何が起きているのか全然つかめない」と感じることが自分にもあります。外からの説明だけ追っていると、肝心の“現地の人たちの生活”や“内部の事情”が見えないまま理解した気になってしまうんですよね。 この本が助けになるのは、ウクライナ動乱を地政学の大きな物語として語るのではなく、生活水準の低下や社会的不満といった、ごく具体的な現実から積み上げていく姿勢にあります。貧困化が長く続いた社会で、なぜ分離の動きが生まれるのか。なぜ政治家の質が落ちていったのか。なぜ「親露か親欧米か」という二項対立だけでは説明できないのか。そういう部分をていねいに押し開いてくれるので、表面的な議論に流されなくなります。 読みながら、自分がどれだけ“善意だけで理解したつもり”になっていたかにも気づかされました。外的要因のせいにしがちな問題でも、まず当事国自身の歴史や制度に目を向ける必要がある。その視点の変化は、ウクライナに限らず、他国を見るときにも、日本の政治を考えるときにも効いてきます。 ニュースの裏にある「人々の暮らしの延長としての政治」をちゃんと捉えたい人に刺さる一冊です。
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