
夜が明ける(新潮文庫)
西加奈子
新潮社 / 2021-10-20
この本について
人の弱さを見たときに、どう扱っていいか分からなくなることがあります。家族でも友人でも、助けたいと思う一方で、踏み込んでいいのか迷う感じです。自分の中にも醜い瞬間があるのを分かっているからこそ、他人の崩れ方に触れるのが怖くなる。そういうモヤモヤを抱えている人には、『夜が明ける』はけっこう深く入り込んできます。 この物語は「貧困とは権利の剝奪」という言葉が示すように、環境や境遇が人の選択や表情をどう奪っていくのかを、したたかに描いています。ただし、誰かを悪者として処理しない。美しい瞬間と醜い瞬間が同じ人間の中に同居していることを、登場人物たちの関係を通して実感させられます。読んでいてつらい場面も多いけれど、その目線があるからこそ、他人に対する距離の取り方や、何を見落としてきたのかに気づかされる瞬間があります。 特に、家族の記憶に揺さぶられる描写は、言い訳のきかない現実と向き合わざるを得なくなる重さがあります。それでも物語が淡々と進むぶん、読者の中にある「自分なら何ができただろう」という問いが自然と育っていく感じがありました。誰かのしんどさを前に固まってしまう人に刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの33%が集中しています。
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