
NHK「100分de名著」ブックス 福沢諭吉 学問のすゝめ NHK「100分de名著」ブックス
齋藤 孝
この本について
仕事で意見を求められても「自分の考えを言い切れない」とか、会議で違和感があっても「代案がないから黙っておこう」とか、そんな場面ってけっこうあると思います。僕自身も、周りの空気を読んで一歩引いてしまうことが多くて、あとからモヤモヤが残るタイプです。 『学問のすゝめ』を読み直して感じたのは、福沢が言う“独立”は孤立とは違うということでした。チームの一員として自分の役割を果たす覚悟があってこそ独立だし、人に任せきりにして判断を棚上げする態度は、むしろ依存なんですよね。さらに、彼が言う「反対するなら代案を持て」という姿勢は、現代の職場でもそのまま効きます。批評だけしても現実は動かない。じゃあどうするかまで考える習慣が、結局は自分の行動力にもつながっていく。 もうひとつ刺さったのは、福沢が推した“実学”の考え方です。机上の理屈ではなく、暮らしや仕事に直結する知恵を学べ、という主張は、学び迷子になりがちな今こそ響きます。「行動には識見が必要」と言うように、ただ動くだけでなく、現実を理解する力を養うこともセットで求められている。これは僕らの日々の判断の質にもそのまま影響してくるところだと思います。 空気に流されがちな人、自分の意見を持ちたいのに持ちきれない人には、とても相性のいい一冊です。福沢の言葉は厳しく見えて、実は今の混沌に向けた応援にも感じられます。
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