
猫を抱いて象と泳ぐ (文春文庫)
小川 洋子
文藝春秋 / 2011-07-10
この本について
仕事でも人間関係でも、「正しいと思うけど、なんだか自分の心がついてこない」ときってありませんか。うまくやれているはずなのに、どこかで泥水を踏んでしまったような感触が残る。効率や勝ち負けだけを追いかけるほど、そういう違和感は強くなる気がします。 『猫を抱いて象と泳ぐ』を読むと、そのモヤモヤに少し輪郭が出てきます。チェスの勝ち方を描いているようでいて、実は「どう生きるか」に近い話が静かに流れているんですよね。勝てる局面こそ丁寧に進むべきだとか、最善手と美しさは必ずしも同じじゃないとか、そういう視点に触れると、普段の判断に奥行きが出る感じがあります。自分が何を大事にして動いているのか、意外と見えていなかったものが浮かび上がってくるんです。 特に響くのは、チェスが鏡のように人間を映す、という言葉。自分の癖や欲の動きまで含めて、すべて手に出てしまう。だからこそ、勝つか負けるか以上に「どんな道筋を選ぶか」が問われる。日々の小さな決断にもそのまま重なるところがあって、読後にふっと背筋が整うような感覚が残ります。 静かだけど芯のある物語なので、派手な刺激はいらないけれど、自分の中の基準をそっと整えたい人に刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの20%が集中しています。
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