
これが物理学だ! マサチューセッツ工科大学「感動」講義
ウォルター・ルーウィン and 東江 一紀
文藝春秋 / 2012-10-15
この本について
仕事でも日常でも、理屈はわかるのに実感として腑に落ちないことってありますよね。数字やデータを追いかけているはずなのに、「これって本当に意味のある測定なんだろうか」とか、「そもそも世界の仕組みってどこまで理解できるんだろう」とか。自分もよくそこで足が止まります。 この本は、いわゆる“難しい物理”を教えるというより、そういう行き詰まりに小さく風を通してくれる感じがあります。たとえば、空が青い理由を分子レベルの散乱から説明してくれるところは、知識というより「世界を見るときの焦点の合わせ方」を教わっているようでした。逆に、観測可能な宇宙の話や「宇宙の96%はまだよくわからない」という部分に触れると、自分が抱えている“わからなさ”がむしろ健全に思えてきます。そして「不確かさを自覚しない測定は意味がない」という一節は、仕事で数字を扱うときの態度まで自然と見直させられました。 物理というと専門的に聞こえますが、この本が扱っているのは、結局は“世界との付き合い方”なんだと思います。知識を増やしたい人より、いまの理解の限界にちょっと疲れている人にこそ刺さる気がします。
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