
竜馬がゆく(七) (文春文庫)
司馬 遼太郎
文藝春秋 / 2023-08-24
この本について
最近、困ったと口にした瞬間に思考が止まる感じがありませんか。状況が動かないのではなく、自分の頭が固まってしまうあの感じです。僕もよくやってしまうのですが、『竜馬がゆく(七)』を読んでいると、そんな瞬間にどう呼吸を戻すかのヒントが妙に現実的に転がっています。 たとえば、高杉晋作の「困ったと言わない」という姿勢は、根性論ではなく、言葉ひとつで自分の視野が閉じてしまうことへの自覚として描かれています。運が荒れる局面でも、まず跳ね返る方向を探す。その感覚が物語の中の具体的な場面で積み重ねられているので、こちらの現実にも自然と重ねてしまいます。さらに「仕事は馬と騎手」という比喩も、努力とか才能より前に、環境や組む相手で結果が変わるという当たり前だけど忘れがちな視点を返してくれます。人の見方についても、お慶が示すように肩書きではなく“背骨の通り方”を見るという話が静かに効きます。 悩みを無理に前向きへ変換したい人より、「今いる場所でどう動けばいいのか」を落ち着いて考えたい人に向く巻です。物語としても面白いですが、それ以上に、自分の姿勢がほつれているときの縫い直しに近い読後感があります。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの22%が集中しています。
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