
まぐだら屋のマリア
原田マハ
幻冬舎
この本について
日常を普通にこなしているつもりでも、ふとした瞬間に「この先どう生きていくんだろう」とか、「自分の中のしんどさをうまく言葉にできないな」と感じることがあると思います。誰にも言えないまま、その感情だけが静かに積もっていくような感覚です。僕もよくそこで足が止まります。 『まぐだら屋のマリア』を読んだとき、読者の方が保存していた場面にある“無音の時間”や、“携帯を前に祈るように手を合わせる仕草”がすごく腑に落ちました。人が限界まで追い込まれたときって、立ち上がる前にまず「何もできない時間」が必ず挟まるんですよね。この物語は、その沈黙を無理に励ましたり、前向きに解釈したりしません。ただ、その人だけの静けさとして丁寧に扱ってくれる。読んでいる自分まで少し呼吸が整う感じがありました。 もうひとつ印象的なのは、「死が近づいたと思っても、気づけば遠のいている」という描写です。死を扱っているのに重すぎないのは、作者が“死と生の距離感”を押しつけずに描いているからだと思います。「誰にとっても最期の瞬間まで他人ごと」なんて言い方は少し冷たく見えるけれど、実際にはその通りで、その事実が妙に気持ちを軽くしてくれる。人間の弱さを否定せずに置いてくれる物語です。 自分のペースでしか立ち直れないことを、頭じゃなく体感で理解したい人に刺さる本です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの50%が集中しています。
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