
考えることの科学 推論の認知心理学への招待 (中公新書)
市川伸一
この本について
仕事の議論や日常のやり取りで、「なんでこの人はこう結論づけるんだろう…?」とか、逆に自分の考えのどこがズレているのかよく分からないままモヤモヤが残ることがあります。論理的に考えている“つもり”なのに、気がつくと感情や思い込みで判断していたり、筋道がぐにゃっとしていたり。その正体はたぶん、推論のクセなんですよね。 この本は、いわゆる論理講座とは少し違って、「人間が実際にはどう考えてしまうのか」を丁寧に見せてきます。前件否定や後件肯定のような典型的な間違いだけでなく、反例の見つけやすさで推論の難易度が変わる話や、四枚カード問題のように内容によって正解率が一気に変わる現象など、読んでいると自分の判断の揺れ方がそのまま再現されていて、ちょっと笑ってしまうくらいです。論理学が「理想の思考」を示すなら、この本は「現実の私たちの動き方」を見せてくれる感じで、その差分がじわじわ効いてきます。 特に役に立つのは、日常の推論が実は文脈や領域知識に強く依存していて、必ずしも形のきれいな論理式に沿っていないという指摘でした。これに気づくと、議論で噛み合わない理由や、自分が特定の場面だけ妙に判断を誤る理由が少しだけ読めるようになります。完璧に論理的になれるわけではないけれど、迷ったときに「どこでつまづいてるのか」を見やすくしてくれる本です。 自分の思考のクセを、静かに見直したい人に刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの32%が集中しています。
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