
民藝とは何か (講談社学術文庫)
柳宗悦
講談社 / 2006-09-10
この本について
日々暮らしていると、もの選びでどこか迷う瞬間があると思います。値段か、デザインか、流行か。頭で考えるほど、何を基準にすればいいのか分からなくなるあの感じです。僕自身も同じで、家で使う器ひとつでも「これって本当に自分の生活に合っているのかな」と立ち止まってしまうことがよくあります。 柳宗悦の『民藝とは何か』は、その迷いに対して大きな声を上げるわけではなく、もっと静かに「生活と美は切り離せないよ」と教えてくれる本でした。読者の方が保存していた「用とは奉仕なのです」という一節は、まさにこの本の核心で、ものがただ便利かどうかではなく、日々の心に逆らわずに寄り添ってくれるかどうかという視点を思い出させてくれます。また、使い古した器がより美しく見える理由を「奉仕の歴史」と捉えるところも、消費のサイクルに疲れがちな自分にはしみました。 この本は、派手さより健やかさを大事にしたい人に刺さると思います。といっても、民藝を神格化するような話ではなく、誤解されやすい概念を地道に元の意味へ引き戻してくれる内容です。ものを見る目が鈍ってきた時代だと柳が語るように、自分の基準を少し整えたい時にそっと役立つ一冊でした。
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